先週、南半球4カ国によるラグビー国際大会・ラグビーチャンピオンシップの開催地争いに敗れたニュージーランド。開催地最有力候補だったニュージーランドは、落ち込んだ経済を立て直すため、この大会の経済効果が喉から手が出るほどほしかった。ラグビーで経済を立て直す、、、ラグビー王国ニュージーランドには打って付けの復興のシナリオだったはずです。
しかし、SANZAARが最後の最後に下した決断は、オーストラリアでの開催。その理由は、チームが海外から到着した際の2週間の隔離措置が、オーストラリアのほうがより柔軟だったから。到着後、できるだけ早くトレーニングを始めたい各国代表にとって、ニュージーランドの厳格な隔離措置は受け入れがたいものだったようです。
この開催地争いに敗れたことが、アーダーン首相の人気に陰りを与えました。ロックダウン中は、絶大なリーダーシップで新型コロナ感染拡大を抑え、一躍世界中から絶賛される存在となりました。しかし、新型コロナ感染を比較的押さえ込んでいる今の状況でも、厳格に対応し続ける姿が、堅物で融通の利かない印象を与えているような。ちょっとやりすぎではないか、、、と。
10月には、オーストラリア代表との伝統戦・ブレディスローカップ2試合が予定されています。開催国は今のところ、ニュージーランド。しかし、オーストラリア代表は、ニュージーランド側の厳しい隔離措置を理由に、ニュージーランドへの渡航に難色を示しています。
そこで政府は、ブレディスローカップ開催を死守するため、オーストラリア代表に対してかなり譲歩した特別な隔離案を提示しました。到着後3日はホテルで各自隔離、その後はチーム内でバブルを作りトレーニグできるというもの。あれほど厳格だった新型コロナの水際対策がぶれぶれになってしまったのですが、国民の安全をとるか、経済を取るか、アーダーン首相も苦渋の決断だったと思います。
実は、ニュージーランドは10月に総選挙が行われます。ラグビーチャンピオンシップ開催地争いに敗北した今、ブレディスローカップが無事にニュージーランドで開催できるかどうかは、アーダーン首相の再選を左右する事案となっています。毎日、ニュースでこの件が流れると、ニュージーランドにとってラグビーは政治も動かす存在なのだな~とラグビー王国と言われる所以を実感します。
Comments